札幌で相続した家の解体費用は?補助制度も解説
札幌で相続した住宅を解体する場合、建物本体の工事費だけでなく、残置物、アスベスト調査、樹木や塀の撤去、整地などによって総額が変わります。
結論からいうと、補助制度を検討するなら、解体業者と契約する前に札幌市へ相談してください。札幌市の補助制度は、交付決定前に契約・着工した工事を対象外としているためです。
なお、2026年10月28日時点では、令和8年度(2026年度)の「危険空家等除却補助制度」と「木造住宅除却工事補助事業」は、どちらも申込期間を終了しています。この記事では、次年度以降の検討にも役立つよう、2026年度の制度内容をもとに費用の考え方と準備手順を整理します。
結論|補助制度は解体契約の前に確認する
解体費用と補助制度を確認するときは、次の3点を先に押さえましょう。
1.補助金は契約前に確認する
見積もりを取ることはできますが、交付決定前の契約や着工は補助対象外になる場合があります。
2.補助の対象はすべての空き家ではない
危険性の判定、建築時期、耐震診断、所有関係など、制度ごとに条件が異なります。
3.解体後の土地の税額も試算する
住宅を取り壊すと住宅用地の特例が外れ、翌年度以降の土地の固定資産税・都市計画税が上がる場合があります。
「解体費だけなら払えそう」と判断せず、売却価格、補助対象額、解体後の税負担まで合わせて比較することが重要です。
解体費用を左右する6つの要素
解体費用は、主に次の要素で変わります。
1.構造と延べ面積
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などで、解体方法や使用する重機、廃材の量が異なります。
2.敷地への重機の入りやすさ
前面道路が狭い、隣家との間隔が小さい、電線や塀が作業の支障になる場合は、手作業が増えることがあります。
3.家財・残置物の量
家具、家電、生活用品などの処分は、建物本体の解体とは別に見積もられることがあります。札幌市の危険空家等除却補助制度では、残置物の処分費は補助対象の除却工事費に含められません。
4.アスベストの調査と除去
建築物の解体では、原則として有資格者による石綿の事前調査が必要です。石綿含有建材が見つかった場合は、除去や飛散防止対策の費用が加わります。
5.塀・庭木・基礎・地中埋設物
物置、ブロック塀、樹木、井戸、地中のコンクリートなどを撤去する範囲によって費用が変わります。
6.施工時期と積雪条件
積雪期は除雪や養生、工程調整が必要になることがあります。売却時期が決まっている場合は、冬季条件も含めて見積もりを確認しましょう。
札幌市の危険空家等除却補助制度では、補助額算定用の標準除却費として木造1平方メートル当たり36,000円、非木造51,000円が示されています。ただし、これは補助額を算定する基準であり、実際の工事見積額を保証するものではありません。
札幌市の解体補助制度を比較
2026年度に札幌市が案内した主な解体補助制度は、次の2つです。
| 制度 | 主な対象 | 2026年度の補助上限 | 2026年度の受付 |
|---|---|---|---|
| 危険空家等除却補助制度 | 札幌市の事前確認で危険性があると判定された空き家 | 通常型50万円 地域連携型150万円 |
9月30日終了 事前確認は9月16日終了 |
| 木造住宅除却工事補助事業 | 旧耐震基準で、耐震診断の上部構造評点が1.0未満の木造住宅 | 対象額の23%以内・上限30万円 | 9月25日終了 |
2つの制度は対象条件が異なり、他の補助金と併用できない条件があります。次年度も同じ内容で実施されるとは限らないため、最新年度の募集開始、予算、要件を札幌市へ確認してください。
危険空家等除却補助制度の主な条件
危険空家等除却補助制度は、倒壊や建築部材の飛散のおそれがある危険な空き家について、解体費用の一部を補助する制度です。
主な確認項目
・札幌市内にあり、原則として1年以上使用されていない空き家であること
・札幌市の事前確認で「危険空家等」と判定されること
・交付決定前に契約・着工していないこと
・許可または登録を受けた解体事業者へ依頼すること
・他の補助金を受けていないこと
・所有関係が明確であること
・共有者や抵当権者など、関係権利者の同意が得られていること
・申請者が札幌市税を滞納していないこと
2026年度の通常型は、対象となる除却工事費の3分の1、国の標準除却費による算定額、50万円のうち最も低い額が上限でした。地域連携型は上限150万円ですが、除却後の土地を5年間、地域の自治組織などへ無償貸与することなどが条件です。
残置物処分費、跡地の舗装費、手数料、消費税などは補助対象の除却工事費に含まれません。見積書では対象工事と対象外費用を分けてもらうと確認しやすくなります。
木造住宅除却工事補助の主な条件
木造住宅除却工事補助事業は、耐震性が不足する旧耐震基準の木造住宅を対象とする制度です。空き家に限らず、制度要件を満たす木造住宅が対象になります。
主な確認項目
・札幌市内の木造戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・1981年5月31日以前に建築されたこと
・在来軸組構法であること
・地上3階以下で、木造部分が2階以下であること
・延べ面積の2分の1以上を住宅として利用していること
・耐震診断の上部構造評点が1.0未満であること
・所有関係が明確で、原則として所有権以外の権利が設定されていないこと
・他の補助金を受けていないこと
・契約・着工前に申請し、交付決定を受けること
2026年度は、「除却工事費」と「延べ面積×47,800円」のうち低い額の23%以内で、上限30万円とされていました。危険空家等除却補助制度とは判定基準が異なるため、築年数や耐震診断の状況をもとに相談先を確認しましょう。
契約前に進めたい6つの手順
解体を検討するときは、次の順番で進めると契約後の行き違いを減らせます。
1.所有者と権利関係を確認する
登記事項証明書を取得し、相続登記、共有者、抵当権などを確認します。共有の場合は、解体方針を相続人間で整理します。
2.建物の資料を集める
登記簿、固定資産税納税通知書、設計図、建築確認書類、過去の修繕記録などを集めます。
3.契約前に札幌市へ相談する
補助制度の対象になりそうか、事前確認や耐震診断が必要かを確認します。次年度の募集情報が公表される前でも、準備できる書類を聞いておくと安心です。
4.同じ条件で複数の見積もりを取る
建物本体、基礎、塀、庭木、家財、アスベスト、整地、諸経費を分け、どこまで含むか比較します。
5.解体後の売却価格と税負担を確認する
建物付きのまま売る場合と、更地にして売る場合の査定を取り、固定資産税の変化も確認します。
6.交付決定後に契約する
補助制度を利用する場合は、市の交付決定前に契約・着工しないよう注意します。完了報告に必要な契約書、請求書、領収書、工事写真も保管してください。
解体後の固定資産税と必要な届出
住宅を解体すると、建物の固定資産税は翌年度から課税されなくなります。一方、土地は住宅用地の特例が受けられなくなり、税額が上がる場合があります。
札幌市では、小規模住宅用地(住宅1戸当たり200平方メートル以下の部分)の課税標準について、固定資産税は価格の6分の1、都市計画税は3分の1とする特例があります。住宅を取り壊して住宅用地でなくなると、この特例が外れます。ただし、実際の税額は負担調整措置なども関係するため、単純に6倍になるとは限りません。解体前に市税事務所へ試算を相談しましょう。
解体後に確認する主な手続き
・登記された建物は、法務局で建物滅失登記を確認する
・滅失登記を申請しない場合や未登記家屋は、札幌市へ「家屋取りこわし届書」を提出する
・床面積80平方メートル以上の建築物の解体は、建設リサイクル法に基づき着工7日前までの届出を確認する
・解体工事では石綿の事前調査を行い、床面積80平方メートル以上の場合は調査結果の報告を確認する
届出の実務は解体事業者が行うものもありますが、発注者として提出状況と控えを確認しておくことが大切です。
相続住宅の解体に関するFAQ
Q.2026年度の札幌市の補助金には、今から申請できますか?
A.2026年10月28日時点では、危険空家等除却補助制度と木造住宅除却工事補助事業の申込期間は終了しています。次年度の実施、受付期間、要件は未確定のため、札幌市の最新案内を確認してください。
Q.補助制度の標準除却費が、そのまま解体見積額になりますか?
A.いいえ。標準除却費は補助額を算定するための基準です。実際の見積額は、構造、面積、道路条件、残置物、アスベスト、付帯工事などで変わります。
Q.相続登記が終わっていなくても申請できますか?
A.危険空家等除却補助制度では、登記名義人の相続人も対象になり得ますが、所有関係が明確であることや、他の所有者・権利者の同意などが必要です。戸籍や遺産分割の状況を整理し、札幌市へ事前に相談してください。
Q.家を解体してから売る方が有利ですか?
A.必ずしもそうとは限りません。更地の方が売りやすい場合がある一方、解体費用、固定資産税の変化、買主の建築計画なども影響します。建物付きと更地の両方で査定し、手取り額を比較してください。
相続住宅の解体では、補助金の有無だけでなく、売却方法、税金、所有関係をまとめて判断する必要があります。契約を急がず、まず建物の状態と権利関係を確認し、札幌市への相談と不動産査定を並行して進めましょう。
身近な相続の専門家では、札幌の相続不動産について、現況売却と解体後売却の比較、専門家や解体事業者との連携を状況に合わせてご案内します。
解体して売るか迷っている方は、札幌で相続した古い家は解体してから売るべき?もご覧ください。
解体後の空き家控除を検討する方は、札幌の相続空き家控除|必要書類の集め方も参考にしてください。
札幌の不動産相続については、身近な相続の専門家トップページをご覧ください。
参考・確認日:2026年10月28日
札幌市「令和8年度札幌市危険空家等除却補助制度のご案内」
札幌市「木造住宅の除却工事(解体工事)の費用補助」
札幌市「土地の固定資産税・都市計画税」
札幌市「家屋を取り壊したときの届出」
札幌市「建設リサイクル法の届出」
環境省「石綿事前調査結果の報告について」








